無駄な戦いをしない。大企業でストレスなく働く方法

オフィスで一人落ち着いて仕事をする人と、その背景で混乱する会議に巻き込まれる社員たち。効率的な働き方とストレスフルな環境の対比を描いたシーン。

小熊英二さんの『日本社会のしくみ』によると、日本の労働者は大きく3つのパターンに分かれるという。

  1. 大企業型 … 新卒一括採用、年功序列、社内出世が前提。企業内でのポジションが社会的立場を決める。給与水準は高いが生活費が高額になりがちで、投票率は低め。
  2. 地元型 … 地元の中小企業、地方公務員、家業など。給与水準は低いが、地域の人間関係の結びつきが強く生活費が安価で済む。投票率は高め。
  3. 残余型 … フリーター、非正規、派遣、中小企業、個人事業主など。安定がなく、地域とのつながりもなく生活費もかかる。最近だとフリーランスもここに含まれるため生活水準はさまざま。

自分は残余型(中小企業)を経て現在は、大企業型にいるといえる。会社が潰れることも、おそらくクビになることもない代わりに、社内調整や出世競争、生産性の低い仕事や無駄な会議が当たり前の環境にいる。

「調整しなきゃ…」という呪縛がストレスの原因?

これまで、他部署との施策のバッティングがあれば「ちゃんと連携してパフォーマンスを最大化しなくては」と思っていた。大企業では、誰かが調整役を担わなければ、施策が噛み合わず、無駄なコストや無駄なリソースを消費するばかりだ。しかし、この「調整しなきゃ」という思い込みが実は間違いなのかもしれない、と最近思う。

なぜなら、調整のために動いたとしても、

  • 調整のための会議が増える
  • そもそも他部署に話を聞く姿勢がない
  • 上司が他部署と調整しようとしない
  • 結果的に誰も責任を取らず、施策は迷走したまま(でも会社は潰れない)

というパターンがほとんど。
つまり、「調整しなきゃ」と思うこと自体が、自分にとっては最大のストレスなのだと気づいた。

大企業でストレスなく働くためのマインドセット

このことに気づいてから、働き方を見直すことにした。以下の4つのマインドセットを持つことで、大企業特有の「無駄な調整地獄」から抜け出せたと思う。

1. 「自分の仕事の範囲を決める」

大企業では、良かれと思って「やらなくていいこと」に首を突っ込むことはNG。

  • 「関連しそうだから、一応声をかけたほうがいいかも…」
  • 「このツールも関係あるし、話を聞いておいたほうがいいか…」

こういう曖昧な領域を自分から引き受けないことが大事

「自分の仕事は担当しているこの領域の仕事 だけ」と決めて他を見ないようにすることで、周辺で起こっている理不尽な対応に気を揉むこともないし、勝手に人を嫌いになって嫌な気分になることもない。

2. 「バッティングしても、調整するのはそっちでしょ?」のスタンスを貫く

以前は、施策が他部署とかぶらないように「事前に調整しないと」と思っていた。でも、冷静に考えれば、それを調整するのは私の仕事ではなく、上層部の仕事だ。

  • 「そっちの施策は知らなかったですね」
  • 「私はこちらの施策をやるだけなので、影響があるなら適宜調整してください」

このスタンスを持つだけで、「あっちの部署でも似たようなこと考えているみたいだから、足並み揃えたほうがいいかな」とか、「バッティングしたらどうしよう…」とかいう、考えても解決しないことによる余計なストレスがなくなった。

3. 「迷走する組織は遠くから眺める」

大企業には、「形だけの組織」や「意味のない施策」がたくさんある。

  • 部署横断のCX推進部ができたが、実務経験のない人がリーダーになり、結局何も変わらない
  • 競合との差別化を考えないまま、社内の自己満足で施策を進める

以前は、こういう動きを見てイライラしていた。でも、「また迷走してるな~」と遠くから眺めるぐらいの気持ちでいると、無駄な感情を消耗しなくて済む。

4. 「会社を変えるより、自分のスキルに投資する」

「この会社のCXをどうにかしなきゃ」と思うのは無駄だった。
大企業は トップが本気で変えようとしない限り(トップが課題の本質に気づかない限り)、何も変わらない

だったら、

  • 自分のスキルを伸ばすことに時間を使う
  • 自分が次のステップに進む準備をする

ほうが、よほど建設的だ。

まとめ:無駄な戦いを避けるだけで、ストレスは減る

「自分の仕事はこれだけ」と決める
「バッティングしたとしても、調整するのは自分ではない」と考える
「迷走する組織は遠くから観察する」
「会社を変えるより、自分のスキルを磨く」

大企業は、余計なことを考えすぎるとストレスが増える。だからこそ、無駄な調整を避け、冷めた目で組織を眺めながら、自分の仕事に集中する強い意志が大事 だ。

結果的に、「働き方が楽になるだけでなく、ちゃんと成果も出せる」のかもしれない。

もし、大企業で「調整地獄」にハマっているなら、一度このマインドセットを試してみるといいかもしれない。
—-

と、ここまで書いて改めて思うのは、こういうマインドで働く人が多いから、日本の生産性は上がらず経済成長が停滞し続けているのかもしれない、とも思う。

でも、だからといって、自分だけが戦っても消耗するだけだ。自分の手で変えられる範囲は限られている。結局のところ、組織を変えられないなら、自分の働き方を変えるしかないのだと思う。

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この記事を書いた人

就職氷河期世代の40代。
10回以上の転職を経て大企業の平社員に落ち着くも、退屈をもてあます日々。
趣味はキャンプ。

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